君と好きな人が

KN嬢が、来月入籍することになった、と連絡をくれました。
突然のことでびっくり。
慌てて電話すると、
いつもの、いたってのんびりした口調で、
「実はそういうことになっちゃって〜」
旦那さまになるひとがおうちを買ったそうで、
一緒に暮らすんなら籍も入れよう、ってなったらしい・・・。
心の準備ができないままにKN嬢が結婚してしまうので
嬉しいんだけどせつなくて、うまく言葉が出ない。
おめでとう、って弾んでる声が涙まじりなのを知られそうで、
咳をする振りでぐっとこらえた。


「もっとゆっくり考えるつもりだったんだけど、
 結婚相手として彼に不満はないし」
淡々とした口調で綴られる言葉が、胸の奥を掠めていく。
旦那さまの苗字と自分の名前をつなげて読んで、
「なかなかいい名前でしょう?」なんて、言わないで。
さみしい。
彼女が、遠くに行ってしまう。
彼女自身は何も変わらないけれど、
独身最後の旅行とか、パーティとか、したかったな。
ちゃんと、笑っておめでとうって言いたかった。
あまりにも突然で、喪失感が大きくて、気の利いた言葉も思いつかないまま、
矢継ぎ早に冷やかして、いろいろ聞いて。
式も、いずれちゃんと挙げるって言っていたけれど、
結婚式では、
彼女のお父さま以上に、わたしも泣いてしまう気がする。


幸福な彼女を、彼女の幸福を、とても嬉しいと思うのに。


彼女との電話を終えた後、すぐにKA嬢から電話がかかってきて、
ふたりでセンチメンタルになりました。



おめでとう。
心から、おめでとう。
嬉しいです。
自分のことのように、嬉しいです。
お幸せに。