千光年の夢が見たいな

KK氏と夜、飲みに行く。


「キミに限らず、高校のときの男の子たちは
みんな優しすぎるくらい優しいから、
ぜんぜん異性を感じなくて、安心できるんだよね」と珍しく褒めたら、
「それは褒められてるのかどうか微妙」と笑いながら
「でも、これがデフォルトだと思うなよ、オレらは特別」と釘を刺された。


優しいひとが好き。
居心地のいいひとが好き。
わたしがそう言って、そばに居るひとを選ぶのは。
それは、彼らとずっと一緒に居たためでもあるのかもしれない。
不器用で無骨な彼らの、一生懸命な優しさは、
長く一緒に居て初めて思い知る貴重な感情なのだと思う。


「彼女が欲しいわけじゃないんだけど、ときどき凄く寂しくなることがある」
とKK氏が言ったけれど、
「本気で欲しい欲しいって思ってるわけじゃないでしょ」とはぐらかした。


彼らの中にまだ、特別な女のひとはいないから。
だから、こんなふうに、大事に扱ってもらえていることを知っている。
彼らの中にいつか、誰よりも大事だと思うひとができてしまったら、
わたしはきっと、心から喜べないような気がしている。
彼らが幸福になることはわたしの望みでもあるけれど。
ほんとうに嬉しいことなのだけれど。
わたしは欲張りで、
そして卑怯だ。