何度もキスを重ね 12月を奏でよう

「日曜、会えないから」と
彼が仕事帰りに来てくれました。


「お帰りなさい、お疲れさま」
「ご飯は?」
「お風呂、わいてるよ」
こまごまと、おままごとのように世話を焼けることが、嬉しい。


わたしは彼専用の青いカップにコーヒーを注いで、
彼はクローゼットから着替えを出した。
いつの間にか、彼のものが部屋に増えて。
いつの間にか、彼がものの位置を覚えていて。
ふたりの歩んできた道のりが生んだ産物。


憧れも重みも、幸福も大変さも知って、
それでも一緒に生きてゆきたいと思えるひとは、このひとなんだろうか。
ゆらゆら揺れる湯気の向こう側に座る彼の顔が
未来の確かな誰かだったら、いいのに。