運命だって信じてみたい

gekritzel2005-01-12

会社帰りに映画館に寄って、「CODE46」と「アイ・ロボット」を
2本立てで観てきました。

CODE46」は、近未来SFラブストーリー。
環境破壊が進み、地球全体が砂漠化した
近未来の地球が舞台です。
人々は、コンピュータが徹底的に情報管理している、
安全な都市部(「内」)に暮らしています。
そして、犯罪を犯した人や社会非適合者、その家族は市民権を剥奪され、
砂漠化の進む苛酷な環境(「外」)に追放されているのです。
そのため、「外」の人々は「内」に強い憧れを抱いています。
安全を守るために都市間の移動は厳しく限定されていて、
パペルという滞在許可証を発行された者のみが移動を許されています。

調査員ウィリアムは、何不自由のない生活をし、妻子と幸せに暮らしています。
ある日、彼はパペルの審査・発行を一手に引き受けるスフィンクス社から
パペル偽造事件の捜査を依頼され、上海に渡ります。
彼は、相手が自分のことを話すだけで、相手の考えることが読み取れるという
特殊能力を持っているので、
社員のマリアが犯人と見破ってしまいます。
マリアはもともと「外」の人間で、家族もなく、孤独な人間でした。
育ちも生活も、何もかも異なるふたりですが、なぜか強く惹かれあい、
結局、彼は虚偽の報告をして彼女をかばい、ふたりはたちまち恋に落ちます。
しかしマリアは、実はウィリアムの母親のクローンでした。
この愛は、同じ遺伝子を持つ者同士の生殖を禁じた
CODE46』に抵触してしまうのです。
妊娠したマリアは、この『CODE46』のために、強制的に堕胎させられ、
また、ウィリアムとの記憶を消されてしまいます。
しかし、記憶を消されてもなお、マリアはウィリアムに再び恋をします。
今度はウィリアムが記憶を消され、今までと変わらぬ、幸福で豊かな生活に戻り、
マリアは記憶を消されないまま、「外」に追放されてしまうのです。


ひどくせつない映画でした。
運命の恋、とは決して言わないけれど、でも、運命としか言えなくて。
記憶操作のせつなさ。利便性。
「結末がわかっていても、ひとは同じ選択をしてしまうのだろうか」。


忘れてしまいたい、と、日常思うことはたびたびあれど、
それがもし現実となったなら、取り残された相手はどんなに空虚だろう。
愛した人から自分が抜け落ちていること。
そして、抜け落とされた記憶の持ち主に、喪失感はないのでしょうか。
愛した記憶を持ちながら、二度と戻れない幸福を思いながら生きてゆくことと、
愛した記憶を忘れて、どこか偽りの自分を生きること、
どちらが残酷なのでしょう。
せつない、悲しい、そしてとても美しい映画でした。