声にさえもならなかったあのひと言を

gekritzel2006-12-10

本日は映画三昧。
近所のシネコンで、2本、立て続けに観て来ました。
シネコンもイルミネーションでライトアップされていて、きれいでした。
ネタバレありなので、観る予定のある方はご注意です。
 

1本めは、『トゥモロー・ワールド』

クライヴ・オーウェン主演のイギリス映画。
時は2027年、子どもが生まれなくなった近い未来を描いたSFです。
全世界は絶望に陥り、世界の大都市は無政府状態となり、
唯一、イギリスだけが、国家権力の元に生き残りました。
しかし、社会問題として、テロの日常化、宗教対立、貧困、飢餓、大陸からの難民対策。
イギリス国籍を持つ者以外は難民収容所に送られ、ナチスのゲットーをも思わせます。
そんな中、世界最年少の少年が亡くなります。
この地球を引き継ぐものが誰もいなくなる、という恐怖・・・。


主人公セオは、元反体制の活動家。
爆破テロでどうにか命拾いをした彼は、
年上の友人でヒッピー生活を送るジャスパーの元を訪れます。
このジャスパーは、セオにとって癒し、救いの象徴でもあります。
ある日、反体制組織「フィッシュ」によって拉致されたセオは、かつての妻ジュリアンと再会。
ひとりの難民の少女を託されます。
難民の少女キイは、なんと妊娠しているのでした。
人類の未来への希望となる少女、キイとその赤ん坊。
ジャスパーもジュリアンも殺されてゆく中、
国際組織「ヒューマン・プロジェクト」の船「トゥモロー号」にキイとその赤ん坊を送リ届けることが、
セオの使命となったのでした。


映画は謎に満ちています。
なぜ人類に新しい生命が生まれなくなったかについても、
なぜ世界が崩壊していったのかについても、
「ヒューマン・プロジェクト」が何者であるのかも、
映画の中ではいっさい明かされません。
映画によって近未来をシミュレーションする上での、暗黙の前提条件となっているのです。
まるで神による警告であるかのように。
キイは途中で最後の希望の子どもを出産しますが、
ラストも、トゥモロー号が霧の中から姿を現すシーンで、唐突に終わっています。
人類の未来は描かれていないのです。


日本でも少子化が進んでいる今、けして「お話」ではない内容だと思いました。
生まないのではなく、生むことができない。
選択肢のない中で見えてくる「世界の終わり」という恐怖。
いろいろ考えさせられる映画でした。




2本めに観たのは、うってかわって明るい『プラダを着た悪魔』。

登場人物がみんな個性的でキュートで、とにかく楽しめる映画でした。
主演のアン・ハサウェイが、もう、とにかくおしゃれで可愛い♪
がらっとイメージチェンジするシーンでは、その美しさにはっとするくらい。


主人公アンドレアは、ジャーナリスト志望の女の子。
ところが、ひょんなことから、まったく興味のなかった有名ファッション雑誌「ランウェイ」の
辣腕編集長ミランダのアシスタントになってしまいます。
(現実では「ヴォーグ」誌がモデルかな?)
この編集長ミランダは、とにかくやり手で、出版社の会長ですら敵わないほど。
自分の仕事に自身のあるミランダは、そして傲慢で高慢で傍若無人
彼女のためなら、レストランは開店前でもステーキを焼き、
出版されていない「ハリー・ポッター」の原稿は製本されて彼女の双子の娘たちに贈られ、
どのデザイナーも、彼女がOKを出さないデザインをコレクションに載せることはしないほどの権力。
その下で働くアシスタントたちは、当然、秒単位で彼女の用事を言いつけられることになります。
ところが、その無理難題をこなしていくうちに、アンドレアは能力を認められ、
ついには「若い頃の私に似ているわ」とミランダに言わしめるほどに成長します。
ところが、「仕事ができる」反面、私生活は悲惨なものに・・・。
5年来の恋人にも別れを切り出されるほど、
アンドレアの生活はミランダ中心になってしまうのです。
仕事か、プライベートか、大切なのは・・・?
ついにアンドレアは、華やかできらびやかな生活に別れを告げ、
本来の志望である新聞「ミラー」紙への転職を決意します。
そこで待っていたのは、ミランダからの、ミラー紙編集長に対する、
アンドレアへの最大の賛辞でした。


映画の途中で、こんなセリフが出てきました。
ミランダが男性なら、有能で優秀な頭脳の持ち主だと誰からも認められるだろうに」
ミランダも、仕事に情熱を傾けるあまり、離婚を繰り返し、ゴシップ欄を賑わせる一人なのです。
女性の社会進出が当たり前のアメリカでも、こんなふうに言われてしまうんだなぁと
せつなくなりました。
後半、恋人から別れを告げられるシーンでも、
要は「仕事と恋人と、大切なのは、どっち?」てことだよね・・・。
女性から男性へは禁句なのに・・・って思いました。
原作も先に読みましたが、
ラストは、映画のほうがハッピーエンドです。


まったく違う性質の映画でしたが
久しぶりだったので、どっちも楽しめました♪
次は『シャーロットのおくりもの』とか『大奥』が観たいなぁ。
予告で面白そうなのがけっこうあったので、映画漬けになりそうです。
彼氏は「エラゴン! エラゴン!」って
「ドラゴンが出てくる」というだけの理由で、観たいと主張してますが(笑)